2017年4月19日水曜日

他人を尊敬することが人生を豊かにする

私は若い頃、丸の内のOLだった。高校生の頃から一流企業に就職することを目指して勉強した。それが報いられて丸の内のOLになった。当然の結果と言えよう。

丸の内の一流企業に集まってくるエリートたちは、みんな学校でトップだったような人たちばかりだ。それぞれが自尊心が強く、お山の大将のようだった。

私は丸の内のオフィス街を闊歩し、大蔵省に仕事に行くなど、普通では体験できないこともした。私はとても偉くなっていた。それは自分の力で成し遂げたことなのだ。

丸の内のOLやエリートの生活は華やかでスマートだ。私はそれが当たり前だと思っていた。当時は、イトーヨーカ堂で洋服を買うなんて、とんでもないことだった。今は、「しまむら」とか「パシオス」を愛用しており、「イオン」で買うのは高級品だと思っているが(笑)。

当時は、給料もたっぷりもらえて、お金には不自由しなかった。確かに丸の内のOL生活は面白い体験がたくさん出来た。でも愛がなかった。お金があっても愛がなければ幸せではない。有意義なOL生活だった一方で、虚しさも感じていた。

私は会社を退職した後、「愛ってなんぞや」と、それまで興味を持っていたキリスト教会に通ってみたり、結婚するまでの間、人材派遣会社で働いたりした。

しかし、そこで出会った人たちの生活レベルの低さに驚いた。今まで自分がどれほど恵まれていたかを思い知った。

みんな、悪い労働条件できつい仕事をしている。これが一般人の現実なのか、と丸の内のOLを辞めて、一般人の仲間入りをした私は、世の標準を学ぼうとしていた。今まで私が付き合っていた学校の友だちや会社の仲間とは全然違う人たちだった。

つまり私は丸の内のOLの生活レベルから、一般人の生活レベルへと限りなく降下したのである。

私と同じ職場の同期だった女性で、まだ会社で働いている人はいない。みんな結婚して退職して、それぞれの人生を歩いている。

どうしても生活レベルを下げたくなくて、銀行員と結婚して優雅に暮らしている人もいる。自営業の人と結婚して、嫁姑の問題に悩んだが、今はリッチに暮らしている人もいる。子供を亡くして人生が狂った人もいれば、夫を既に亡くしたり離婚した人もいる。一人だけ、エリートと社内結婚をした人がいるが、なぜか今は宗教の勧誘をしている。エリートと結婚しても、宗教にハマる悩みがあるらしい。

人は歳を取れば角が取れて丸くなるのかと思ったら、どうも逆らしい。知識や経験が増すほどに自分の主義主張も確立し、ますます付き合いづらくなるのは何故か。

お金があって偉そうにしていても、他人を思いやる人間性が育ってない人がいる。お金があっても愛がないのはどうしてか。

最近私は、一冊の本を読んだ。AmazonのKindle unlimitedで読み放題だから読んだのだが、この本が私の疑問に答えてくれた。

「あなたを困らせる遺伝子をスイッチオフ!:脳の電気発射を止める魔法の言葉」(大嶋信頼著 青山ライフ出版)という本である。

人を嫌悪すると、嫌悪したのと同じ遺伝子がオンになり、自分も嫌悪した通りの人間になってしまうそうだ。虐待する親を嫌悪していた子供もまた、自分の子供を虐待するような親になるのは、そういう訳だそうだ。

じゃ、「馬鹿と言ったら自分も馬鹿」というのも、同じ理屈なのね(笑)。

大嶋信頼さんの主張の骨は「尊敬」にあるようだ。人を尊敬すると、自分の中の悪く考える遺伝子がオフになる。そうすると見えないものが見えるようになり、人生がうまくいくようになるらしい。

本のタイトルにある「魔法の言葉」というのは、「〇〇さんって、すげー!」という尊敬を表す言葉である。いつでもこの言葉を唱えて尊敬していればいいらしい。

聖書の「金持ちが天国に入るのは難しい」という言葉は、お金を尊重する人は天国に相応しくないという意味かと思っていたが、大嶋さんの解釈によると、お金や地位や物をたくさん持つほどに、人は自分が偉いと感じて他人を尊敬しなくなる、という意味だそうだ。

人生経験が長いお年寄りほど、自分が一番偉いと感じ、他人を尊敬しなくなる。

逆に、何も持たずに人生経験が浅い子供ほど、「〇〇ってすげー!」と何に対しても、尊敬と感動を持って見る。この子供のような感性が人生を豊かにすると、大嶋さんは言うのだ。

なるほどー、と私は納得した。丸の内のOLもエリートたちも、長く生きているお年寄りも、自分が偉くなりすぎたのだ。彼らは他人を尊敬することはなく、他人を見下すことさえある。

そういう人たちが、豊かな人生を歩けるだろうか。人は偉くなればなるほど、心が貧しくなり貧しい人生を送るようになるのだ。

私は死んだペットの犬を尊敬している。彼は愛することを教えてくれた私の師である。そしてターシャ・テューダーを尊敬している。彼女は心豊かに生活を楽しむことを教えてくれる師である。

私は犬とばあさんに似る遺伝子が、オンになってしまうかもしれないな(笑)。

人はみな、自分が尊敬されたがるが、他人を尊敬しない。他人を見下すと自分が偉くなるように感じる。しかし、本当は他人を尊敬することで豊かになり、人を見下すことで貧しくなるのだ。

尊敬するか見下すかで、本当に自分の中の遺伝子がオンオフになるのかは分からないけど、人生を心豊かに楽しみたかったら、その為の鍵は「尊敬」であることは間違いない。他人を尊敬することを忘れた人は人生が貧しく感じられるだろう。いくら自分が偉くなっても、どんなに金持ちになっても。

いつも子供のような犬のようなターシャのような目線でいればいい。何を見ても「すげー!」って感動出来れば、これほど素晴らしい生き方はないだろう。

その為には、自分が偉くなったり多くを持っていない方がいいのだ。多く持つほどに、偉くなるほどに、上から下を見下ろすようになる。かつての丸の内のOLだった私のように。